犬の病気

犬の病気

【子宮蓄膿症】
子宮の中に膿が溜まる病気です。犬では発情後2ヶ月頃に起こりやすく、中高齢の避妊手術をしていない犬で多くみられます。
通常は5歳以降に多く、元気や食欲がなく、陰部から出血やおりものが続く場合にはこの病気が疑われます。

「症状」
はじめは無症状で、病態が悪化するにつれて元気や食欲の減退、吐き気などが現れます。大量に水を飲み、尿の量が多くなる症状もよくみられます。陰部より血や膿が出る場合と全く何も出ない場合があり、子宮が破れて腹腔に膿が漏れると、腹膜炎を起こして亡くなる場合もあります。

「診断・治療」
レントゲン、超音波検査、血液検査、膣スメア検査などで診断します。
治療は、膿の溜まった子宮と卵巣を手術で摘出します。早い段階で手術を行えば、ほとんど助かります。脱水などがある場合には、点滴を行います。同時に抗生物質を投与し、一般的な入院期間は3~7日間くらいです。
膿がお腹の中に漏れて腹膜炎を起こしてしまった場合は、かなり深刻です。卵巣と子宮を切除し、腹腔内を抗生剤で洗浄した後、カテーテルを留置してその後腹膜炎が治癒するまで抗生物質を投与しますが、助からない場合もあります。

「予防」
若いうちに避妊手術(卵巣子宮摘出術)を受けていればこの病気にはなりませんので、子どもを産ませなくてもよい場合はできるだけ避妊手術をされることをお勧めします。


【犬糸状虫症(フィラリア症)】
フィラリアは、犬の肺動脈や心臓に寄生する寄生虫の名前です。

犬フィラリア症は蚊が媒介することにより、血液中にフィラリアの子虫が侵入し、最終的に肺動脈や心臓に成虫が寄生する非常に感染率の高い病気です。フィラリアが寄生することにより、血液の循環が阻害され、腹水貯留、発咳、血尿、体重減少、運動不耐性など、様々な症状が発現しますが、感染当初は見て分かる症状はほとんどありません。しかし、放置しておくと死に至る恐ろしい病気です。

フィラリア症は、感染初期にはほとんど症状を示さないため、なかなか感染していることに気がつきませんが、動物病院で血液検査を行うことにより、診断することができます。また、室内飼育の犬でも予防処置を行っていないと、感染してしまう可能性があります。

予防方法は、月に1度の内服薬あるいは注射によって予防します。5~6月頃から予防が必要になりますので、春になったらできるだけ早く動物病院で診察を受け、必要な予防処置を行って下さい。


【心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)】
心臓弁膜症は、老齢の小型犬でしばしばみられます。適切な管理を行わないと、呼吸が苦しくなり、たいへん苦しむやっかいな病気です。診断を行うためには、まず聴診を行い、その後、超音波検査、レントゲン検査、心電図検査などが必要となります。病気の進行を調べるためには、定期的な検診が必要となります。

心臓弁膜症の犬は、家庭内での看護が特に重要となります。また、肥満犬に比較的よく認められることから、体重や食事の管理も非常に重要になります。特に塩分については、症状を悪化させてしまう可能性が高いため、注意が必要です。

治療は心臓の負担を軽減するために、通常は数種類の内服薬を終生飲ませることが必要になります。病期の進行により、適宜お薬の種類や用量を適切に調節する必要があるため、定期的な検診は欠かせません。

最近元気がない、よく咳をする、安静にしていても呼吸が速い、などの症状がみられる高齢犬は、すぐに動物病院で受診して下さい。


【膝蓋骨脱臼】
膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨と呼ばれる膝の“お皿の骨”が外れてしまう病気です。様々な犬種で発生しますが、特にトイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、チワワ、マルチーズなどの小型の純血種に多くみられます。

[症状] 脱臼した足を浮かせて歩くようになり、びっこをひいたり、たまに痛がる様子がみられます。実際に痛みはないことが多いのですが、病状の程度により、無症状のものから正常の歩行が困難なものまで様々です。
病状の段階は、その重症度によってグレード1からグレード4まで分類されています。
グレード1・・・脱臼しても自然と正常な状態に戻ることが多く、無症状で気づかない場合が多いです。
グレード2・・・時々脱臼した足を浮かせて跛行しますが、犬が足を伸ばしたり、人の手によって簡単に整復することができ、日常生活にそれほど大きな支障はありません。
グレード3・・・脱臼していることの方が多く、整復してもすぐにまた脱臼した状態になるため、脱臼した側の足を上げて歩行することが多くなります。
グレード4・・・常に脱臼している状態となり、ひざを曲げたままの状態で歩くといった歩行異常がみられるようになります。ただし、犬によってはこの段階でも症状を示さない子もいるので、注意が必要です。

[原因] 先天性のものと後天性のものがあります。先天性のものでは、生まれつき膝関節周囲の筋肉や靭帯、骨の形成異常があることが原因で、小型犬に特に多くみられます。加齢と共にこれらの異常が進行し、膝蓋骨脱臼を起こす結果となります。後天性のものでは、外傷などの物理的原因がきっかけとなる場合がほとんどです。

[治療] 脱臼すると筋肉や腱も引っ張られるため、痛みが続く場合があります。このような場合は、痛み止めを飲ませて安静にしていることが大切です。また脱臼に伴って変形性骨関節症が起こっている場合には、鎮痛剤や関節用のサプリメントが有効です。外科的な治療では、膝蓋骨を正常な位置に戻す手術を行いますが、グレードが進行し過ぎたり関節の変形が重度の場合には、手術をしても症状が改善しない場合もあります。

[予防] 膝蓋骨脱臼を予防するには、膝に負担をかけないことが大切です。特に室内のフローリングの床などは、四足歩行をする動物にとって負担になる場合があります。腰にも負担が掛かる可能性もあるので、その場合は絨毯やカーペットを敷くなどして、負担を軽減してあげて下さい。また、太り過ぎないように体重管理もとても重要です。体重が重いとそれだけ膝に負担が掛かるので、適切な体重を保つことが必要です。
適度な運動(お散歩)で膝の周囲に筋肉がつくとそれが膝関節を支えてくれるため、膝の負担が軽減されます。


【椎間板ヘルニア】
椎間板ヘルニアとは、脊椎と脊椎の間にある椎間板に変性が生じ、その内容物が脊柱管内に突出することにより脊髄を障害する病気です。

【症状】
椎間板ヘルニアの症状は、発生部位とその進行状態により様々です。
背中を触ろうとすると痛がったり、抱こうとすると嫌がったり、ノロノロ歩きや足を引きずるような仕草が見られたり、階段に上れなくなったりします。
通常は下半身が多いのですが、頚部の椎間板ヘルニアでは首の痛みにより頭を上げられなくなったり、神経の圧迫により四肢に麻痺症状などが見られることがあります。
背部の椎間板ヘルニアでは、腰から背中にかけて触ると痛がったり、触られるのを嫌がるようになります。また、後ろ足の麻痺などがよく認められ、酷くなると排便・排尿ができなくなることもあります。

【原因】
原因として一番多いのは、犬種(ダックスなどの胴長犬種)、加齢、肥満です。
また、激しい運動や骨の老化による椎間板の損傷も原因となります。
人と比べ四足歩行の動物では、頭部や胴体の重みを横(地面と並行)に伸びる脊椎が支えることになり、特定の部位に大きな力が掛かります。
頭や胴体の重みを支える脊椎のクッションの役割をしている椎間板への負担が大きくなり、損傷することによって発症します。
椎間板が損傷すると、椎間板内部の髄核(ゼリー状の物質)が飛び出して脊髄神経を圧迫するようになり、これが麻痺や痛みの原因となります。

【治療】
症状がまだ軽いうちであれば、飲み薬や注射で患部の痛みを抑える内科的治療を行い、しばらく安静にさせて運動を控えるようにします。
症状が重い場合には、外科的治療が必要です。手術をした後はリハビリを行い、神経の機能回復を図ります。

【予防】
普段の生活環境がフローリングの床であれば、カーペットなどを敷き足腰に負担をかけないようにします。
上下運動は足腰に負担になるため、階段の上り下りやソファーの飛び乗り、飛び下りなどはできるだけさせないようにすることが大切です。
また、食事管理を徹底し、肥満防止に努めることもとても大切です。